国際協力団体との協同事業:学校ハーブ園プロジェクト


Roselle Stones Khmerの取り組みとして、「学校ハーブ園プロジェクト」を打ち出していますが、このプロジェクトは開始当初からさまざまな国際協力団体との連携のもとで実施してきました。

面識のない学校へいきなり「学校ハーブ園をしませんか?」と持ち掛けても、信用してもらえるようになるまでに時間がかかります。幸いカンボジアでは多くの国際協力団体が、コミュニティーと良好な関係を築いて活動されています。私自身が元NGO職員ですので、多くの国際協力関係者と面識がありました。そういった団体を通じて、いくつかの学校を紹介してもらいました。私たちが学校へ出向いてプロジェクトについて紹介すると、とても好意的に話を聞いてもらえます。それぞれの団体がすでに築き上げてきた信頼関係をお借りして、学校ハーブ園プロジェクトはいろんな地域に進出していきました。

学校ハーブ園プロジェクトの3つの目的(1.学校の美化緑化 2.伝統文化の継承 3.学校運営費の創出)については何度か紹介してきましたが、学校や教育局とやり取りをしていると、どうしても3番の「学校運営費の創出」にばかり注目されがちです。それだけ学校側も運営費の不足に悩んでいるとも言えますが、こればかりに注力されてしまうと、学校という教育現場の本来の役割がおろそかになってしまう危険性があります。また、しっかりと収益の管理がされなければ、特定の先生や関係者の都合で収益が使われてしまう危険性もゼロではありません。そういった意味でも、地域に根差した国際協力団体との連携はとても重要です。

そして嬉しいことに、最近ではいろいろな国際協力団体の側から、「私たちの活動地にある学校でもハーブ園プロジェクトをできませんか?」と問い合わせを頂けるようになりました。買い取り可能な乾燥ハーブを作れる環境は、学校の立地や水の状況などによって左右されますので、どこの学校からでも乾燥ハーブを買い取るというわけにはいきませんが、少なくとも学校ハーブ園プロジェクトの1番と2番の目的はどこでも実施可能です。この点は参加希望校を訪問してチェックし、何ができて何がすぐには難しいかを話し合いながら、進めています。

こうして会社と国際協力団体の連携のもとにプロジェクトを進めていく事は、私にとって非常にエキサイティングな経験です。ザンビア、マラウィ、カンボジアでのNGO職員時代、任地で見つけたいろいろな経済発展の可能性の芽。多くの場合、それはまだまだとても小さな芽でした。やっとコミュニティー農園で野菜が収穫できるようになってきた。マイクロファイナンスで養豚事業がまわるようになってきた。村の小学校で先生たちが自主的に菜園をしていた。現金が足りないと言っている村のほとんどの家の裏庭で、オクラが栽培されていた。それぞれが、ほんの少し、ちょっとした販路とのつながりができれば、今よりも少し生活が/運営が安定する可能性がある。でも、ブローカーは量がないと相手にしてくれない。自力で個々の購入者へアプローチするにはリソースが足りない。サポートしようにも、私たち自身に安定かつ恒常的な販路はない。時にはせっかく芽生えた可能性を何とか活かしたくて、在住外国人コミュニティから注文を取って、ザンビアの田舎から首都ルサカまで大量のダイコンを車で運んだこともありました 笑。痛感したことは、一度きりの協力なら得られても、専門ではないこと(=この場合は野菜販売)を突然兼業でやるというのは無理があるという事です。組織の規約としてできないこともあります。あの時に学校ハーブ園プロジェクトのような取り組みがあれば、もう少しできたこともあるんじゃないかなぁと思うのです。そして私が体験したジレンマは、他の国際開発ワーカーの人たちの多くも体験していたことでした。そういった意味で、この事業を始めて本当に良かったと感じています。

それでは、各地の学校ハーブ園からハーブを買い取るだけで、会社として製造が間に合っているのかというと、そうではありません。そこには、生産のもうひとつの柱である小規模農家さんの協力が不可欠です。この話はまた別の機会にしたいと思います。